竹馬の友、力の13回忌で郷里静岡に行く。
心から親友と呼べる友のいたことを誇りに思う。何をするのにもいつもつるん
でやっていた。同じ空気の中にいるだけで安らいでいれた。成人してからは
離れていても同じことを感じあっているように思えた。
郷里の山を見たときは山の思い出が浮かぶ。海に行けば海の思い出が、町
を歩けば町のいたるところに思い出が転がっている。
家の前の店で働いていたKちゃんとMちゃんを誘って夜竜限山に登った。
下心を見透かされ2人は結局巻かれてしまったそんな高校時代の思い出も。
医者から宣告された。あと5日間の人生を。
みんなが去った病室で、お前がいてくれていい人生だったと抱きついてきた。
裕次郎がいて、ひばりがいていい時代だったなと呟いた。俺の分まで生きてく
れ、好きなことやってくれ、お前の家族のように俺の子たちも頼むぞと託して
逝った。
つらくなったとき、嫌なことに出会ったとき、面白くないときも、お前生きてるん
だから頑張れと、いつも背中を押してくれる。
こんなことしていていいのかなーと怠惰になやむとき、好き勝手な生き方をし
ていても、おれこんなでいいのかなと言うと、お前生きてるんだから俺の分ま
で好きに生きろと囁いてくれる。
いつも彼のことを語るとき、面白い話をしようと思っていても、きまって涙がど
っとあふれてきて声にならなくなってしまう。古希を過ぎたんだからと思っても
涙は昔のまんまだ。でも堂々と悲しもうと思う。そして生きてやろうと思う。約束
したんだから。
早よこいと 隣は空きし 友の墓
気になるな 隣の墓は 空いている。
君たちは 死んでも一緒と 友笑う
まだ待てよ 君の分まで 生きるから
君思う 流れる雲と セーヌかな
頑張れと 背を押す君の 涙かな
駄作