E君はアトリエによく遊びにくる常連さんの一人である。来てもこれといって話すわけではなくただぶらぶらしたり、お菓子をつまんだりして
遊んでいく。たまにはと思ってアトリエを出てハンズにいった。真新しい画材類を見ては次ぎえの意欲を駆り立てた。Eも勝手に棚を見たり物を手にしたりして付き合ってくれた。お茶でも付き合おうとパーラに入ってバニラアイスを摂った。彼はこれが好物のようでぼくの分まで手を出しては喜んで口にしていた。二人で相好を崩して無心に食している姿をみんなが見ているようだった。小田急デパートの屋上は早春の風が心地よくてクッキーを肴に鳩と戯れた。アトリエにもどってまもなくEは帰った。仕事をしない日も充実した日でありたいといっていたのは山口薫だったかな。
(リュクサンブールのポニー・スケッチ)