物を見て描くということに興味が薄らいでいる。観たものを観ないで描くことの方が面白い。そこには自分の意志が強くはたらいて表れてくるからだろう。有るものをそのまま描く、リアルに描く、そっくりに描く、上手く描くことができても、そこに価値を感じないからか。というか、いま自分かそれをやるとなんともぎこちなくなってしまう。わざとらしさを感じて嫌になってしまう。先日アトリエ展出品用の作品をどうしようかと、あれこれやっているうちに、描いたキャンバスを寝かせその上に顔料を出し、両の手の平で塗りまわして帰宅した。よく朝アトリエに入って観てみたらなんとも素敵な色彩が。なにも描いてないのだが、全身を打ち込んで塗りたくったキャンバスが輝いて見えたのだ。なにも描いてないキャンバスなのである。このスケール感、躍動感、広がり、もうこれ以上手を出せないと思った。
なーンて凄いこと、と思われるでしょうが、きっと独りよがりの大ぼらなのかもしれません。アトリエの仲間たちに”どうだー”と言って見てもらいたいと思います。いま見せるのもったいなくて隠してあります。