スケッチ旅行でわたしが最も興奮したのはセザンヌのアトリエを訪問したときです。エクス。アン・プロヴアンスにあるアトリエに入った瞬間に”あーセザンヌの絵だー”と強烈に感じたのです。そこには見慣れたテーブルやつぼや花瓶、白い布、いくつかのりんご、椅子やストーブなど、画集で見慣れた光景がそのままそこに存在していることに衝撃をうけたのです。あまりの現実に身震いするほどでした。壁には仕事着が3つかけられてい盗んできたいような衝動にも駆られました。絵ではないのにどこを見てもセザンの絵なのです。パリに出て、そのたびに失意を味あわされ、打ちのめされていたセザンヌはエクスに帰ってきてはひとり奮起し”りんごひとつで世界をあっと言わせてやる”と猛烈に描いたのでしょう。そんな雰囲気がバシバシとこの胸に伝わってくるのでした。残念ながらバスの中にカメラを忘れてきてしまってアトリエの写真をとれなかったのが惜しまれます。セザンヌがよく描いていた緑色の花瓶のレプリカをかってきました。わがアトリエにその花瓶をセットして見ましたら、なんとセザンヌが描いた絵がそこに表われているのです。ご覧ください。そっくりでしょ!