齢くうとどうしてこんなものに美しさを感ずるのでしょうか。ムッシュSは電柱と電線の重なりを見て、「最近こんなのがいいなーと思って描いているんですよ。ほら電線に鳥がとまってるでしょう、あれなんかいいなーと思う。」とね”。わかるわかる!”とセンセ。近所の廃屋の壊れている窓、修理をくりかえしできたベニヤ板のかたち。錆びついて変色を繰り返すトタン板。なんとも言えない自然の汚れ。トンネルにスプレーで落書きされそれを消した後の模様。工事をくりかえしたコンクリートの傷跡。ドライフラワーに残った色の輝き。そんなものに美しさを感じるのですね。石に興味を感ずるようになる時は、寿命が尽きる時だと言われるけど、まもなくそんな心境になるのだろうかね。失われたものへ感ずる美しさを。
若いとき、夕日に輝く黄金色の稲穂に感動し、絵に描いてみたいなーという衝動にかられ、それがきっかけで絵を描きはじめたのを思い出します。