9時半には銀座にいた。土曜日、朝の銀座は疲れているようなけだるい雰囲気。
宅配便の荷車、シャッターも下がったままの店、ひともまばら。画廊が開くのは
11時だからまだ間がある。腰を下ろす場所もなくやっとみつけたカフェに入る。そ
の名も「思いで写真館」。コーヒーのショートが430円。ガラス張りの明るい店内に
は女性客が独り。店の雑誌をめくるさらさらいう音がひびく。読みかけの本を開
いて11時を待つ。店を出て配達の若者にいま何時でしょうと時間を聞いたら
10時53分という。
鍵のかかっていた吉井画廊をガラス越しに覗いてこれは観たいなーと思ってい
たのでさっそく足を向ける。店内にはひとり老人が座って電話をしていた。まだ
知らないでいた画家小野洲一の作品。じっと見ていたら座っていた老人が”絵を
描いてるの”と声をかけてきた。良い絵ですねー画集あるでしょうか、と聞いたら
いまないけどつくるから住所書いて、という。なんとそのご老人の名は「吉井長三
氏ではないか。天下の吉井画廊の創立者である。個展するときには連絡してく
ださい、という。なんと恐れ多いこと。ハイ、と応えるしかなかった。
みゆき画廊、中和ギャラリー、井上画廊、ギャラリー後藤、Ksギャラリーを回って
芸大に。第3回目の公開講座をうける。色と光についての講義。知らなくてもいい
内容だったが知った。佐藤教授の言いたかったことは、重ねる色と、絵具を混ぜる
混色の違いを言いたかったのだろうと思った。芸大ではこんな授業をしているの
だろうが。講義の中で「いいかね、この自然の中の色調の全体的調和はあくせくと
忠実な模倣をやったら失われてしまうのだ。これに対応する色階の中で再創造
することによって確保するものだ。その色は正確に似ていなくてもいい。まるでかけ
離れている場合すらあるのだ。略。
自分のパレットから、つまり自分の色彩調和の知識から出発すとこと。これは自然
を機械的盲目的に模写することとは全然違うのだ。」これはアトリエの仲間たちに
ぜひ伝えなくてはならないことだと感じて帰った。
表参道で「モトムノドレミ」イラスト展を観る。わが愛するEくんのお父さんの念願の
表参道での個展である。19日まで。HBキャラりーで。若者たちが大勢来ていた。
良かったよ。むーちゃん!
蒸し暑かったですねー。ビール1っ本増えた。