フランスで生活して一番強く感じたことは遊びというか人生を愉しんでいる
なーということである。老いも若きも、男も女も、人生を楽しむために働くの
だ、と。夏のバカンスをどう過ごすかというのが一年の最大の関心事でそ
のためにどうはたらくかを決めるとか。勤勉が美徳のわが風習とはちと違
う。わがアトリエを作ったのも絵を描くことを通していまの生活やこれから
の人生をすこしでもたのしめるようそんなサロンを提供したいと思ったか
らでもある。
夜も10時を過ぎてるというのにセーヌの河畔は人々でぎっちりいっぱい
である。こども達も結構いるし踊ったり歌ったり演奏したり腰を下ろして飲
みながらの団欒とちょうど日本の花見のような光景がずっと続くのである。
人と人とがつながっているなあという感じがするのである。よく会話をす
るしコミニュケーションを楽しんでいるように思う。フランスの絵描き老クラ
ブとの出会いもそんなことから始まった感じである。
われら男3人組も負けじとホテルの前にあるワインバーで毎日一杯やっ
ていた。ホテルは三ツ星だがテレビなし、冷蔵庫はあるもののなにも入っ
ていないし外に出てたのしむほかなかったのである。さすがに夜0時過ぎ
ると食べ物のオーダーはできなかったが2時ころまで外の喧騒が続くの
である。