こどものこころって純粋で複雑で真剣なんだなあ。EくんはいとこのMMに会え
るというので張り切っていたのだろう。上着の胸に5センチ大のバッチをつけ、
伸びた髪をジェルで固め、首の後ろには香水をかけてもらって晴れのご対面
ときた。MMちゃんは小学1年だが背が高く目元とパッチリの美人さん。MMに
階段を先にのぼるようにとうながし、Eは下から上を見上げにんまりと微笑む。
彼はまだ幼稚園年長さん。なかなかやるわいEくん。
そのEくん、おもちゃの自動車にはいまだに強い関心を示し一人遊びの時には
自動車をころがしてうっとりとして遊んでいる。その数数百台。
EはきょうアトリエでNさんから依頼を受けた。いらなくなった自動車があったら
おばちゃんにくれる?2歳の児がおもちゃのじどうしゃがだいすきだからと。N
さんはEくんはもうとうに自動車遊びは卒業したと思っていたのでしょう。うんう
んと返事していたのだが悩んだのだろうEくん。家に帰って大泣きしたという。
ママからも同じ種類の自動車も3台もあるのだからあげたらと言われ、同じ車
はみな兄弟だからあげれないと。知ってるおばちゃんに頼まれ困ったのだろう。
ママが買っておばちゃんにあげてくれるかと嘆願したという。1台1台それぞれ
が彼にとっては宝物なのだろう。子どもの心って大人が推し量ることができない
ような純粋で複雑で真剣なおかすことのできない領域があるのだなあ。