絵を描く生活をするようになっていままで気付かなかったさまざまなこ
とに関心を持つようになった。感じる気持ちがとても増えたというか複雑
になり感じるひだがましていくみたいだ。美しく見えるものがどんどんふ
えていくのだから困ったものだ。人を見ても自然を見ても廃品を見ても
あーいいなーと感じることがあるのだ。歩いていても立ち止まってじっと
眺めたり、ぶつぶつ呟いてみたり、あんぐりと口空けて空を見たり、茂み
の中に立ち止まって蜘蛛に見入ったり、ごみの集積場で立ち止まって覗
いていたり、スプレーの落書きを眺めたり写真に撮ったりしているのだか
ら知らない人から見たら変人と思われるだろうなー。アトリエの仲間から
は狂人とか狂気じみてるといわれる。
廃物利用者ではないけど一度捨てられたものへの哀愁というか、役目を
終えた物への生命の吹きかけをしたくなるのである。アトリエにはたくさん
のそんなものたちがある。クッキーの空き缶、バレンタインデーの空き箱
佃煮の箱、ダンボール、モンマルトルの札のついた鍵、馬の蹄鉄、鉄くず
最近では米袋をたくさん拾ってきた。
わが家の正月に玄関に活けてあった竹で作った花器。それが捨てられよ
うとしていたからアトリエに持ってきてペンたてにしたのだがけっこういい
のができた。竹がうれしそうにしているのがわかった。