Tさんが持ってきてくれた雛人形がアトリエの小さな棚に飾られている。
金の屏風を立ててなかなか可愛いものである。どうしてこんな小さなも
のでも季節感があって心が和むのかと不思議に思う。
アトリエにはフランスからはるばると海を渡ってきた青い目の人形がある。
みなジュモー製だがとてもいいものである。蚤の市でばらばらになって
いたものを手に入れ専門の修理師さんに依頼して復元させたものである。
みなさんこの人形をよく描くのだがなかなか手ごわいのだ。他人を寄せ
付けないというかこの毅然とした姿に圧倒されてしまうのか誰もまだこの
美しさを手に入れた者はいない。なんとかものにしようと何回も描くのだが
このお人形微笑んでくれないのである。
(チョコの空き箱に入ったフランス人形)